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Totie's ノート

コラム・エッセイ

3月11日

小豆島のオリーブ畑

3.11。
多くの方と同じく、当時のことを思い出し、悲しみやもどかしさで整理しきれない感情と向き合いながら、置かれている環境にも感謝する特別な日だ。

私が、今の仕事に熱量を注げる原点は、間違いなく東日本大震災だ。
東京の暮らししか知らなかった私は、3.11がキッカケとなり”どこで” ”どのように暮らしていくか”を真剣に考えるようになり、翌年小豆島で暮らし始めるようになった。
こちらに越してきても、テレビでの光景や現地で感じた空気や聞いた声、インターネットを通じて支援物資のサポートをしていた時のことは忘れることはできない。

一瞬にして「日常」が失われ、今だに生まれ育った故郷に戻れない方々がたくさんいる。
そして、何世代にもわたって培われてきた、その地域でしか生み出せない文化や風土、街の空気が失われてしまったことを想像するだけで涙が浮かぶ。
3.11は災害が原因でそのような状況になってしまったわけだが、過疎地域に越してくると人口減少が著しく、長期的には現状を維持していくことは大変だと言わざるを得ない。小豆島が好きになって(というか、家内と初めて一緒に来たときに”呼ばれた”感じがして)越してきた身としては、自然、文化、産業、人が織り成す魅力が続いて欲しい。宝の島、だと思いワクワクして来たときの島であって欲しい、という想いを抱きながら、早10年経ったところだ。

ご縁があり、NPO法人トティエで移住促進をはじめ、島の魅力を引き出し伝える仕事をしているが、3月11日以外でも当時感じた悔しさや無力さをふと思い出すことがあり、そういった感情に無意識に突き動かされているんだと思う。
家族や友人、地域の人々が醸し合って形成される、何でもない普通の「日常」。
今の世界の状況をみても、これが何にも代えがたいことだと、改めて感じさせられる。
東北とは遠く離れてはいるが、国内の同じ地方の「日常」を次の世代に繋げようと努めることが間接的な恩返しとなることができたら、と思っている。
とはいえ、人口減少の波には抗えないことも事実で、年月が経つにつれできることが限られてはくるが、自分の持ち場で出来ることを、もがき・踏ん張りたい、と気持ちを引き締める日。

私にとっての、今の3月11日はそんな1日です。

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