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Totie's ノート

コラム・エッセイ

小豆島が人々を惹きつけている源泉(人と国土21 寄稿文②)

人と国土21 2020年5月号」への寄稿文を5回にわたって、掲載します。
前回(1)はこちらから


移住促進と空き家・空き地の活用に向けた民間窓口として設立

 観光そして産業は、直接的な観光客等のみならず移り住む人々を惹き付ける「引力」として非常に重要である。移住者の多くが島内の企業に就業する現状から考えると、もし島に産業が無かったら、現在よりも転入者が少ないことは明らかだ。また、小豆島や隣の豊島(てしま)の場合、移住に繋がる最初のステップとして観光の重要性が高い。
 小豆島が人々を惹きつけている理由は、お遍路で来島される方へのお接待文化など島外の人を迎える気質が住民のDNAに備わっているからではないかと、地元の方々と交流をするたびに感じる。すなわち、自然・歴史・産業・文化などが織り成す小豆島・豊島にしかない魅力を知った来島者がリピーターとなり、島人たちとの交流を通して島暮らしをイメージし、その一部が実際に移住するという流れが主流となっている。


 私たちトティエは、小豆島と豊島を活動エリアとして移住支援の活動に取り組んでいる。トティエとは、「むすぶ」を意味する英語「tie to~」と、Toti(土地)とie(家)をつなげた造語である。
 この組織の成り立ちは、前事務局長である向井達也さんが小豆島町地域おこし協力隊として活動する中で、活用されていない空き家や空き地が非常に多いことを課題とした点、瀬戸内国際芸術祭の開催をきっかけに島への移住者が増加していることに着目した点に端を発する。向井さんは、島内に二町ある行政区の壁を越え、官民一体となって地域課題に取り組んでいく体制が不可欠だと感じ、2016年にトティエを設立した。筆者は、その後、向井さんが小豆島町の職員になるタイミングで事務局長に就任。向井さんとは友人であり、トティエとは、設立時から理事として関わりを持っていた。
 組織構成は、小豆島出身で島内企業の社長などを歴任された方々が理事長と副理事長に就いている。NPO法上の社員は、島出身者や移住者など合わせて11人だが、実際の活動を担っている事務局の常勤職員は、私を含めて2名である。その他、必要に応じて島内の協力者と連携して業務運営を行っている。

 設立時に掲げたのは「移住促進」と「空き家・空き地の活用」で、現在もそれが主な活動となっている。トティエとしての本来の目標は、この取り組みを通して活動エリアの〝社会を良くすること〟だ。単に移住者を増やすだけ、空き家が活用されるだけで小豆島が良くなるわけではない。例えば、転入実績だけが欲しいのなら、プロモーション費用をかけて移住希望者に島の良い所だけを伝えて増やすこともできる。しかし、そのような目先だけの成果を追っていくと、本質的・長期的な観点では、島が良くなるどころか逆効果となるだろう。単年度実績だけではなく、小豆島や豊島の現実的な将来予測とあるべき姿をイメージしながら、実際の活動に落とし込んでいくことが不可欠だと考えている。


続きの「活動には本質的視点が欠かせない(人と国土21 寄稿文③)」は来週投稿予定です。

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