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Totie's ノート

コラム・エッセイ

活動に必要な本質的な視点(人と国土21 寄稿文③)

人と国土21 2020年5月号」への寄稿文を5回にわたって、連載します。

島外との”関係”が島の価値を磨き上げてきた(人と国土21 寄稿文①)
小豆島が人々を惹きつけている源泉(人と国土21 寄稿文②)


移住前から移住後にわたる寄り添う支援と、持続的な地域づくりへ向けた活動

 現在、私たちが活動している主な分野は次のとおりである。

  • 移住促進活動(プロモーション、イベント・ツアーの企画運営、移住全般に関する相談応対など)
  • 空き家・空き地活用事業(住居に関する相談、空き家調査など)
  • 移住体験施設運営事業(小豆島町のみ。2020年度は町内2施設を運営)
  • 雇用対策事業(小豆郡雇用対策協議会事務局運営やその他雇用に関する事業)
  • 高校連携事業(高校生との共同プロジェクトなど、地域学習や将来のUターンを見据えた活動)
  • 定住促進事業(小豆島町就労者向け滞在施設”うえむらシェアハウス”の運営や住民同士の交流に関すること)
  • 調査事業(大学と連携した調査事業)
  • 間接的課題解決に繋がる事業(地域団体や住民との共催事業、協力事業など)

 主活動となる移住促進活動を行う上で不可欠な要素は住宅である。移住希望者がいても家が無ければ転入できないため、まずは物件所有者や受入地区の住民の皆さんに空き家の活用や移住者に対しての理解をしていただく必要がある。そこで私たちは、設立当初から空き家所有者向けのチラシを制作。イラストをメインビジュアルにしたデザインと読みやすい内容で、活用訴求を行い、所有者からの相談にも応じてきた。しかし、昨年以降は所有物件を貸す形から、手放したいという所有者の意識の変化が顕著に現れてきた。どちらであっても遊休物件が流通するのは良いことではあるが、移住者が見ず知らずの土地ですぐに物件を購入するケースは極めて少ないため、そのミスマッチが生じている。また、一昨年度から武庫川女子大学と土庄町と共同で移住・定住に関する調査を行っており、昨年は島内でも比較的過疎度合いが高まっている地区の調査を行ってきた。調査対象地域の空き家は当然多いのだが、今までのように「使ってないなら活用してはどうか」という一方的な活動には限界があると、身を持って感じている。空き家が流通しないのには、所有者の様々な事情があり、一方受け入れ地区としても空き家があるからどんな方でも受け入れる、というわけでもない。これから行政と共に取り組むべきは、地区文化、ひいては島の産業・文化を維持するために転入者が不可欠な現状を改めて理解すること。そして、地区の特徴や受け入れ体制も認識した上で、住民、UIJターン者双方に寄り添った対応を行っていくこと。加えて、転入必須要素となる空き家をどう掘り起こし、活用していくか、といったことである。机上で考えた施策だけではなく、幅広い島民の方々と一緒に各集落と島の未来について真剣に話し、それを踏まえた上で受け入れる仕組みを作っていくことが重要だと感じている。
 これらの本質的な視点に加え、「地域課題が相関関係にある」という多面的な視点を持つ必要があると考えている。小豆島における転入世帯のうち、就労可能な方の8~9割は島内の企業で働いている。つまり私たちの取り組みを成就させるためには、地域経済を維持・向上することが必要なのである。


続きの「オンライン関係人口をどう増やしていくか(人と国土21 寄稿文④)」は来週投稿予定です。

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